月にいくらかかるかを考えるには、利用するサービスと、本人の負担割合を確かめる必要があります。「1割」と分かっても、請求される全ての費用が1割になるわけではありません。負担割合証を確認し、見積もりの中で保険が使える部分と、別に払う部分を分けて見ていきましょう。
制度の骨子 — 原則1割、所得に応じて2割・3割(2026年度)
介護保険のサービスを使うと、費用の一部を利用者が払います。2026年度時点では原則1割で、一定以上の所得がある65歳以上の人は2割または3割です。これはサービスを利用したときの負担で、毎月・毎年納める「介護保険料」とは別のお金です。
保険の給付対象となるサービス費用が1万円なら、その部分の自己負担は1割で1,000円、2割で2,000円、3割で3,000円です。この例に食費や保険外サービスの費用は含めていません。実際の月の支払いには別費用が加わり、対象となる自己負担には軽減制度が適用される場合もあります。
負担割合証で、割合と適用期間を確かめる
親の割合を知りたいときは、所得から計算し直す前に「介護保険負担割合証」を確認します。要介護・要支援の認定を受けた人などに市区町村から交付され、負担割合と、その割合が適用される期間が書かれています。
実家の書類や、保険証をまとめた袋を探してみてください。見つからなければ、親が住む市区町村の介護保険窓口へ、割合の確認方法と再交付について問い合わせます。古い証が出てきた場合は、割合だけを見ず、適用期間も確かめましょう。
割合は前年の所得をもとに毎年見直されます。世帯構成や所得などの変更で途中から変わる場合もあるため、利用する時期に対応した証をケアマネジャーや事業所へ見せて確認すると、見積もりの前提をそろえられます。
2割・3割の判定は、二つの金額と世帯の人数を見る
なぜその割合になるのかを知りたい場合は、本人の「合計所得金額」と、「公的年金等収入額+その他の合計所得金額」の両方を見ます。所得は収入から必要経費などを差し引いた金額を基にするため、年金の受取額をそのまま合計所得金額の欄に当てはめないでください。「その他の合計所得金額」は、合計所得金額から公的年金等に係る所得を除いた金額です。
以下は2026年度の65歳以上の人の判定の目安です。本人が市町村民税非課税の場合など、1割になる例外を先に確認します。そのうえで、3割、2割の順に条件を見ていきます。
3割:本人の合計所得220万円以上で、年金収入なども基準以上
本人の合計所得金額が220万円以上あり、「公的年金等収入額+その他の合計所得金額」が次の基準を満たす人です。
- 同じ世帯の65歳以上が本人だけ:340万円以上
- 同じ世帯の65歳以上が2人以上:その人たちの合計が463万円以上
2割:3割に当てはまらず、所得と年金収入などの条件を満たす
3割に当てはまらない人のうち、本人の合計所得金額が160万円以上あり、「公的年金等収入額+その他の合計所得金額」が次の基準を満たす人です。
- 同じ世帯の65歳以上が本人だけ:280万円以上
- 同じ世帯の65歳以上が2人以上:その人たちの合計が346万円以上
1割:2割・3割の条件に当てはまらない
本人の合計所得金額が160万円未満の場合や、年金収入などの合計が基準未満の場合などは1割です。本人の所得と、年金収入などの条件を両方満たすかで分かれます。
2人以上の場合に合算するのは、同じ世帯の65歳以上の人の金額です。「夫婦かどうか」だけで分けたり、同居する65歳未満の子の収入を加えたりはしません。
本人の合計所得金額が220万円以上でも、必ず3割になるわけではありません。 たとえば、同じ世帯の65歳以上が本人だけで、公的年金等収入額とその他の合計所得金額の合計が280万円以上340万円未満なら、2割の範囲です。二つの金額を別々に見るのは、この分岐があるためです。
40〜64歳の被保険者、本人が市町村民税非課税の人、生活保護等の受給者、旧措置入所者は1割とされています。所得計算には控除の扱いもあるため、境目に近い場合や証の割合に疑問がある場合は、市区町村の介護保険窓口に判定内容を確認してください。この目安だけで本人の割合を決め直す必要はありません。
判定の条件は横浜市の2026年の案内と負担割合の公式FAQで確認しています。手元の証に給付制限など別の記載がある場合も、窓口で確認しましょう。
1〜3割の外にあるお金を、見積もりで分ける
負担割合が分かったら、見積もりの内訳へ進みます。次の費用は、保険対象のサービス費用に1〜3割を掛ける計算とは分けて確認します。
- 食費、施設の居住費、ショートステイの滞在費など
- 介護保険の対象にならないサービスの費用
- 支給限度額の対象となる在宅サービスで、限度額を超えて利用する分
限度額を超える分は全額自己負担です。使える量の枠は認定結果の読み方で確認できます。
見積もりをもらうときは、ケアマネジャーや事業所へ「保険対象の自己負担はいくらで、食費など別に払う費用はいくらですか」と聞いてみましょう。割合が同じでも、利用回数や別費用が違えば月額は変わります。親の年金で足りるかを考えるには、この内訳が必要です。
負担が重いときは、対象費用と軽減制度を窓口で確認する
1か月の対象となる自己負担が所得に応じた上限を超えた場合、申請により超えた分が支給される「高額介護サービス費」があります。ただし、食費・居住費などは対象外で、月の請求額全体に上限が付く制度ではありません。対象範囲と上限は高額介護サービス費へ進んで確認できます。
施設の食費・居住費には、所得や資産などの条件に応じた別の軽減制度もあります。どの費用が重いのかを見積もりや請求書で伝え、利用できる制度を市区町村の介護保険窓口へ相談してください。
一人で月額を計算し切ってから相談する必要はありません。負担割合証と費用の内訳が分かる書類を、ある範囲で手元に置きましょう。支払いがすでに生活を圧迫しているなら、書類がそろうのを待たず、市区町村の介護保険窓口か地域包括支援センターへ相談してください。



